新卒の頃を振り返ると、それは厳しくも貴重な時間だったと感じることがあります。
上司から怒鳴られたり叩かれたりする日々で、「もう辞めたい」と思ったことも一度や二度ではありません。それでも、その時の経験が今の自分を支えているのは確かです。
SES(システムエンジニアリングサービス)は、クライアント先に赴き、技術スキルを提供するのが仕事です。現場ごとに求められるスキルは異なりますが、作業内容や作業方法は現場で説明されます。ですが、それ以上の「会社員としての基本」や「仕事の進め方」、そして「自らの成長をどう促進するか」といった本質的な部分は、教えられることがほとんどありませんでした。
新卒の頃、厳しい指導を受けた中に、このような本質的な学びもあったと感じています。
SES業務を通じて学んだのは、「人の振り見て我が振り直せ」という姿勢の重要性です。SES業務では、さまざまな現場で多様なリーダーや同僚に出会います。
その中で「この人の働き方やコミュニケーション方法を見習いたい」と感じる方もいれば、「この人の行動は信頼を失うな」と反面教師となる方もいました。
他にもSES業務では現場ルールやセキュリティルールが厳格に定められているのが一般的です。なぜルールが存在するのか、ただ従うのではなく、守るべき理由や背景を考えると「対岸の火事」として無視するのではなく、仕事で起こる問題やトラブルに対しても自分の問題として捉えることができたのです。
こうした経験の積み重ねで、自分なりの仕事に対する姿勢が身に付いたと感じます。
現在、私は上司として部下を指導する立場になり、かつて自分が受けた厳しい教育や経験をどのように活かすべきか、日々考えながら指導を行っています。
部下一人ひとりに対して、どう接するべきか、どのように成長を促すべきかを悩みながら日々試行錯誤しています。自分に甘く、他人にも甘い指導だけでは良い成長を望めないこともあります。時には厳しく指導することも大切だと感じますが、その線引きが難しいと感じることもあります。
会社という組織で、同じ目的に向かっていく社員・仲間を上司として「社員を大切にする」という姿勢を持ち、時には優しく、時には厳しくの指導をバランスよく行い、部下の成長をサポートしながら、共に目標に向かって進んでいきたいと思っています。
そのためにも、私はまだまだ未熟な上司ですが、これからも成長し続け、部下に対して「手本」となる存在を目指していきたいと思っています。それでも自分の失敗や反省すべきことがあれば自分が反面教師になり、部下が成長するためのきっかけになればと思います。
あさ