職人技

「職人技」
その言葉で連想されるイメージ。
熟達した技。達人の技。名人芸。受け継がれる伝統。長年の経験よって身に付けられたもの。機械にはまね出来ない卓越した仕事。ただ、ひたすらにその道を突き進んできた人達。
ナノ単位の精密な金属加工が出来る人が居る。
1円玉サイズのハンコに百以上の文字を刻められる人がいる。
まるで生きているかのような、魚や鳥を模した飴細工を作る人がいる。
何十年も使い続けられるカバンを作る人がいる。
「職人が作った○○」というキャッチコピーを目にすると、興味を惹かれる物がある。
品質の信頼度も増えて感じられる。
職人が作ったという料理道具や、生活雑貨類は、多少値段が高く一見なんの変哲もない。しかし実際手にして見るとその良さが分かる。

上質な馬の毛を、職人の手により一穴一穴 丁寧に植えられたブラシ。
カシミアの様なやわらかい生地を傷めず、軽くなでるだけで埃やペットの毛をしっかり取ってくれる。
工具類のドライバーなど、どれを使っても同じだろうと思っていたけれども、持ちやすさが違う、回しやすさが違う、ねじ穴への食いつきやすさが違うことに気付かされる。
往々にして、手入れをしないとすぐに駄目になってしまうが、手が掛かるとそれだけ愛着が沸く。

形ある物ではなくソフトウェアの分野で、職人技と言われるのはなんだろうか

美しいコードを書ける人が職人と言われる
読みやすいこと、意図が分かりやすいこと、後々変更しやすいこと。
数十万行を超えるプログラムを製造する場においては、携わる仲間同士で

書くのとは逆で、複雑なコードを読み解くことも職人技と言われる。
長年様々な人に継ぎ足されて来たソースコードを、秘伝のタレになぞらえられての事なので、ITエンジニアとは別の意味合いの職人と言われている感じはする。複雑なコードをシンプルな形に直すことが出来てこそが、より職人らしいといえる。

組み込み系の分野ならば、職人芸と言われる事柄が少し変わって来る
数百k byteの記憶容量しかない環境で、如何に短いコードでプログラムを書くか。
数k byteしかないメモリを、如何に無駄なく使うか。
CPUも数十 MHzの演算能力しかない事もある。
ハードウェアの制限の対処が、職人技を発揮する所となっている。

プログラムの読み書きだけが職人技ではない。
見積もりをすること
試験の設計
プロジェクトの問題を見出して、提言する事

培われた経験で出来るようになる事が多種多様にある。
近年、属人化を避けようという事が言われるようになってきた。
職人と呼ばれる人に頼りきると、その人が居なくなると現場が回らなくなったという事例からの事だが、職人が要らなくなるという事ではない。
職人から他の人達へ、如何に技術や知識を共有できる仕組みを作るかが、求められてくる。
現場を助ける側、技術を伝える側にもなっていきたいものだと日々精進する次第です。

しん

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