丁寧に生きる

私は野球が大好きだ。
スポーツ全般が好きだが、特に野球のあの団体戦にもかかわらず、打者と投手の一騎打ちのような緊張感にワクワクする。
かつて草野球を楽しんでいた頃、私は進んで投手で四番打者をさせてもらっていた。かけがえのないワクワクの楽しい時間だった。

今はテレビで日本のプロ野球や、メジャーリーグの試合観戦を楽しみにしている。
もちろん、高校野球観戦もとても面白い。
もう10年以上も前になるが、高校野球岩手県大会の決勝戦だったか準決勝戦だったか忘れたが、花巻東高校のヒョロリと背の高い高校三年生が、スピードガンの計測で160㎞の球を投げたとニュースでやっていた。ただ、その年、花巻東高校は優勝を逃し、甲子園への出場は果たせなかった。
大谷という、その背の高い高校生は、自分のせいだと泣いていた。

そして今、彼はメジャーリーガーとして2度のMVPやホームラン王を獲得し、スポーツ選手の契約金として過去最高の評価を得るに至った。

彼は高校卒業とともにメジャーリーグに挑戦しようとした。
世論は「生意気な世間知らず」という空気だった。
メジャーリーグと日本野球機構のバカバカしい約定規約も障壁となり、彼は日本のプロ野球に進んだ。そして、二刀流を希望する彼を、日本プロ野球で活躍した殆どの大御所は咎めるような事を言っていた。

彼は入団したチームでしっかり二刀流の結果を残し、メジャーリーグに進んだ。
もちろん、メジャーリーグでも二刀流に懐疑的だった。
それらの全てを、彼は実績で黙らせた。

いったい23歳の若者にどうしてそのような強靭な精神が存在したのだろう。

今ではファンの間では広く知られている、花巻東高校野球部の「目標シート」があるが、その中に「運」という面白い項目がある。
その為にゴミ拾いなどをして「徳」を積む。という考え方を高校生の頃から実施していたのは凄いと思う。ちなみに高校の先輩の菊池雄星投手(現メジャーリーガー)は、トイレ掃除をよくやっていたと、大谷翔平の名前を知る前にテレビのニュースで見て、その時は「目標シート」の事は正直聞き流していた。

私は野球が大好きだ。
ただし、テレビで試合を観戦していて、ミスではなく、手抜きのような甘いプレーを眼にした瞬間に観戦を止める。
「ちゃんと練習しろー、ボケー」と口にしてテレビを消す。
偶に、名声や立場も得て、大きな人気も有りながら、手抜きと見えるプレーをする選手がいる。私はそれを手抜きではなく、その選手の限界だと思う。
それは日々の鍛錬を怠った当然の結果だ。プロの世界で求められる力は維持するだけで大変だ。自分が衰えている事に気付いた時には、既に取り返しがつかない事が多い。

私は野球が大好きだ。
だから、大谷選手が故障しながらも、必死に身体をケアしながら、リハビリや練習に励み、またベースボールで活躍したいと思うのが、分かるような気がしている。
彼は野球が大好きで、それをする事が楽しくて仕方ないのだろう。
普通の人なら押しつぶされてしまうほどの期待が彼にはかかっている。
もちろん彼もそれは承知の上で、しかし彼はその期待よりも、自分が野球を楽しいと思っていることを自覚していて、それに全てを懸けるのは当たり前で、その生活が他人から見れば修行のようなものであっても、それを求める境地にいるのかと思う。

私はそのような大谷翔平を観る事が出来て本当に幸せだ。

これほど野球に真剣に向き合う選手のパフォーマンスが観られるならば、期待はしているが、結果は全て受け入れられる。
今はテレビの前で応援しているが、いつかスタジアムで、スタンドから大きな声援を送りたい。

野球に限らず、例え開発でも、例え営業でも、例え勉強でも、それを楽しいと思えたら、楽しさを見出せたら、その人は強い。
それは何よりも日々の成長に繋がるだろう。

明日の成長にワクワクしながら、生きてみようか。
その成長を丁寧に受け止めて、生きてみようか。

大谷翔平のように、実は自分を楽しむ事が出来たら、素晴らしいだろうね。

ゆう

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