何故、本が読めないのか?

私は最近、本を読まない。
いや、読めないと言っても過言ではない。
知人に勧められ、譲り受けた小説はあるが、なかなか本に手が伸びない。所謂積読の状態だ。
本は様々なことを与えてくれる。知識であったり、考え方であったり、ものの見方であったり。理解はできる。
しかし今、勧められた本がいつでも手の届くところにあるにも関わらず読まない。

何故、本が読めないのか?
まずは自分と本について振り返ってみよう。

学生時代はまだ多少本を読んでいた。
小学生の頃は街の図書館に行って本を借りていた。
今となっては話を全く覚えていないが、何かのきっかけで「デルトラクエスト」というファンタジー物の小説を読んでいた記憶がある。
そこから小説を読むようになり、「ハリーポッター」シリーズも読み、映画そっちのけで次巻が出るのをまだかまだかと待ち望んでいた。

中学に入ってからは、当時身の回りはオタク文化が流行り始めた頃で、友達から借りてライトノベルを読むようになり、毎日のように昼休みを利用して読んでいた。
学校の図書室にも様々なものがあり、比較的利用していた。
また、ライトノベルだけでなく、当時放映されていたドラマ「セーラー服と機関銃」や「野ブタをプロデュース」、映画化された山田悠介の「リアル鬼ごっこ」を読んでいた。

しかし、高校に入ってからはめっきり読まなくなってしまった。
別に嫌いになったとかではないが、中学のころライトノベルの話をしていた友達と離れてしまった事が大きいのかもしれない。
そこから本とは少し距離が離れてしまったと今では思う。
専門に入ってからは全く読まなかった。

社会人になってからは友達に勧められた「伝説の勇者の伝説」というライトノベルを読んでいた。全11巻、続編の「大伝説の勇者の伝説」は17巻でまだ完結していない長編もののタイトルだ。
読んでいた頃、手に取るとなかなか本を読む手が止まらず、ついつい徹夜してしまうこともあったほどハマっていた。
しかし、それを最後に、本から遠ざかってしまった。
きっかけは特になく、ただ読みたいものがなくなったのが一番の要因だと思う。

思い返せば、自分でこの本を読みたいと思って自分で本を選んだ経験というものがあまりない。いずれも有名な作品であるとか、人に勧められた作品しか読んでいない。
人並みには本を読んできたつもりになっていたが、振り返るとファンタジーしか読んでいないことに気がついた。
ファンタジーという非現実的なものを読んできて、その世界にのめり込んで楽しむということしかしてこなかったのだ。
もちろんその楽しみ方がダメだとは思っていない。
ただ、その楽しみ方だけでは勿体無いように感じている。
ジャンルによって本の与えてくれるものは様々だ。知識であったり、教養であったり、自分とは違うものの見方、想像力や創造力、はたまた経験も得られることもあるだろう。
ライトノベルを馬鹿にする気持ちは毛頭ないが、若者向けの娯楽小説である以上、知識や教養を得るには役不足かもしれない。また登場人物の会話のやり取りが多く、大抵が学生の場合が多いため、会話に稚拙な表現が多い。
また、かろうじて一般的な小説を読んだと言ってもドラマを見たりして話がすでにわかっていたり、ある程度若者向けの文章のものしか読んでいない。

「何故、本が読めないのか?」

自分を振り返ってみると答えは簡単だ。
若者向けの本しか読んできていないから。

冒頭述べた知人に勧められた小説。
誉田哲也著の「武士道シックスティーン」という全4巻からなる、剣道を題材とした友情や成長の物語。それが3巻の途中で読むのを止めてしまっている。
今まで読んできたものとはジャンルが全く異なり、文章表現も内面が多く描かれておりとても読みにくさを感じてしまった。手元にあっても何かと理由をつけてとうとうしばらく開いていない。
また、これは言い訳だと自分も思うが、読み進めるスピードがどうしてもかかってしまい、時間を気にして今読むのは止めておこうと自分を納得させてきた。

私も気がつけばアラサー、今年は三十路。
いつまでも若者向け、なんて気持ちでいたらいつまでも大人になれない。
一般教養としての読書とキチンと向き合わないといけない。

では、どのようにすれば本を読めるようになるか、考えてみたいと思う。

まずはいろいろな文章に触れるようにするということだろうか。
今まで読まなかったジャンルに手を出してみたり、最近直木賞や芥川賞を受賞したような作品に手を出してみるのもいいかもしれない。
まずは万人に受けるものから読み、読解力を鍛えていくべきかと思う。

次に読書をする習慣をつけること。
かといって今ある時間を削ってやろうとすれば長続きしないのは自分がよくわかっている。
ならば、無駄な時間を削ろう。
私は漫画が好きで、よく電子書籍で購入をして読んでいる。
寝る前に布団の中で電気も消した後についつい漫画を読んでしまう。
他にも電車の移動などの隙間時間にも漫画を読んでいることが多い。
読むものがなくてもすでに読んだやつを見返していたりするので、それを削ればほぼ毎日、時間が確保できるだろう。

最後に読みやすい環境を用意すること。(自分の中の言い訳をなくすこと)
現状本を読もうとすると、私の中の弱い自分が、腕が疲れる、布団に入った方がいい、本を持ち歩くのが億劫、などと甘えたことを囁いて結果読まない。
ならば、紙媒体にこだわらず、電子書籍を利用すればいい。
手始めに知人から譲り受けた「武士道シックスティーン」。これを電子書籍で購入しよう。
自分で購入すればせっかく購入したのだから、という気持ちも働くし、電子書籍でなら弱い自分が出てくる隙がない。それに我ながら無駄な時間と気がついている時間を利用するのだから読まない理由がなくなってくる。

このコラムタイトルを通して、自分を振り返る良い機会となった。
人並みには読書をしていると思っていたら、実は全然だったなんて思ってもみなかった。恥ずかしい。
戒めを込めて、今年の目標として、まずは「月に1冊、本を読む」宣言をここにする。
もちろんライトノベルはのぞいた上で。再三言うが、ライトノベルを馬鹿にする気はない。ただ、若者向けからの脱却を目指したい。
下半期からは2冊に目標を高めよう。
折角の知人の好意を無駄にしてしまっているのでまずはそれを読了しよう。
計画を立てたら少しワクワクしてきた。読書を通じて自分を磨いていこう。
もしおすすめの本があれば是非教えていただきたい。

とも

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