続 しろくまと私とダイエット

ダイエットに勤しむ私は、「しろくま」というアイスクリームの誘惑を軽々と乗り越えた。
酷暑の日々、生活リズムを整え、和食中心で時々スタミナを考慮した日高屋の餃子とか、非常に真面目な私だ。
そこでたまのご褒美にジャイアントコーンを買ってみた。
綾瀬はるかがCMに出演していたので、間違い無いだろう。
スーパーで買い物をした最後に、アイスクリーム売り場へ行って、SACRE(レモン)という氷菓を2つカゴへ入れ、ジャイアントコーンを物色した。
目当ての赤いジャイアントコーンをひとつカゴに入れようとすると、後から来た親子連れの小さな女の子が私のジャイアントコーンをじっと見ている。
ニコッと笑いかけると、人差し指をクチビルに当ててニッと返してくれる。思わず「あげる」とジャイアントコーンを渡しそうになるが、まだレジも通っていない。
お母さんとおぼしき人に会釈をしてやり過ごしたが、私はまた何度もジャイアントコーンごときを買いにくるのは面倒だなと思い。
女の子を見送ってから、そそくさとジャイアントコーンをもうひとつカゴに入れた。
家に帰って冷蔵庫の冷凍室にSACREとジャイアントコーンを並べて仕舞った。

歳のせいか、夜中に最低1回は眼が醒めて、トイレへ行く。
その時はまだ眠気が生きており、そのままベッドに戻って素直に眠りに付けば良いものを、その時の私は意志のコントロールが出来ない状態になっている。
トイレから出て手を洗うと、それが何かを食べる前の儀式でもあったかのように、非常に自然な流れで、冷凍庫を空けている。
そして眼の前にジャイアントコーンがある。

椅子に腰を下ろし、手にしたジャイアントコーンを見る。
頭の中で何かが警報を鳴らそうとし、何かが計算を始めようとするが、私はジャイアントコーンの赤いラベルに支配されている。
私は、ジャイアントコーンのてっぺんのチョコレートを綺麗に残すように注意深く、赤いラベルを丁寧に丁寧に剝がしていく。
完全な形でジャイアントコーンの頭が現れる。私は続けて下の段のラベルも慎重に剥がす。

そして気が付くと、コーンの下のチョコ溜りも口内に消えて、ただ、「ふうっ」、美味かったという溜息を漏らしている。
だがしかし、まだ意志のコントロールは戻っていない。
私は2つ目のジャイアントコーンを手にしている。
1つ目と同様に慎重にラベルを剥がし、同様にジャイアントコーンを味わう。
そして寝る。

次の日の朝、部屋の掃除をして、洗濯をして、朝飯前にシャワーを浴びる。
私はタオルを首にかけ、冷凍庫を空ける。
ジャイアントコーンが無い。
始めて夜中の行動の記憶をたどる。
ああ! 2連チャンなんてーっと、自己嫌悪。※自己嫌悪はしたとしても2秒くらい
あの時3個買っておけば、朝の落胆は無かったのではと考えてしまう性格の私。
で、ジャイアントコーン恐るべしと、距離を取る事を考えた。
なので、最後に自分の意志でジャイアントコーンを2つ連チャンする事にした。
正直、途中のクリームのところで少し飽きかける。が、コーンの内側にチョコを配置する工夫。
うーむ。と思いながら2つのジャイアントコーンを平らげて、もうしばらくジャイアントコーンに手は出さないと誓う。
「しろくま」さえ乗り越えた私だ。
が、夜中にジャイアントコーンの禁断症状に悩まされ、明日ひとつだけ。などと愚かな考えをしてしまう。
体重が1キロ、いや0.5キロ減少したら、その時はひとつだけ。と思い直す謹厳実直な私。
で、いそいそと体重計に乗り、明日の目標をキッチリと立てたのでした。

ゆう

コラム一覧へ戻る
採用情報