しろくまと私とダイエット

九州は佐賀県出身の技術者がいて、彼女の地元自慢の№1が「しろくま」というアイスクリームだった。
当時は有名デパートや高級スーパーで偶に見かける程度の品物だった。
彼女曰く、シャーベット状のミルククリームに新鮮なフルーツがふんだんに盛り込まれており、本当に美味しいアイスクリームだと。
ある日、彼女は東京でそれを仕入れてきて、事務所にいた皆に、これが「しろくま」だと振舞ってくれた。
クリームというよりは氷ミルク。素直に「美味しい」という言葉はなかなか出てこなかった。しかし、食べ進めていくと、そのバランスの良さに気付き、「美味しいね」という感想が皆から出てきた。
それがまた嬉しかったのか、夏季休暇で実家に帰った彼女が東京に戻る際に、アイスボックスに入れて、お土産用の「しろくま」を会社に持ってきた。
九州の佐賀から東京へ。そして、家から会社まで、よくも溶かさずに持ってきたなと、感動したのを憶えている。

今はもう、そのへんのコンビニでも「しろくま」は手に入る。
彼女が食べさせてくれた物とちょっと違うような気はするが、大体「しろくま」だ。

話は変わるが、私は絶賛ダイエット中だ。
糖尿病で通っていた病院の先生から、「頑張りましたね。糖尿病のお薬はもう止めても大丈夫そうですね。」と言っていただき、「ただ中性脂肪の値はまだ高目なので、宜しければ胃腸の働きを抑制する良いお薬が有ります。」とも言われた。
私は調子に乗って、「糖尿病の要因に一番繋がりやすいのがそれなので、次は中性脂肪を何とかしましょう。」と、自ら新な薬(自分で打つ注射)を始めた。

が、生活習慣を少し改めただけで、糖尿病の指標値は全て改善クリア出来た。
新たな薬は、使用すると確かに食欲を無くして、それだけで中性脂肪も減りそうだが、やはり気持ちが悪い。
それが、不自然だからだ。
という訳で、2~3回使用したところで、お薬はお医者さんに返却することにした。
逆にそれが私のダイエット魂を刺激して、腹筋の為のトレーニングベンチやダンベルの購入に走らせた。
ジムには入っていたが、その前を通っても何故か行きたくないので、家で好きな時に自由な強度(基本、軽めに)でトレーニング出来る事が私に合っていると思った。
※7年ほど、毎月会費だけが口座から引き落とされて、合計4~5回ほどしか行かなかったジムはダンベル等の購入に合せてキチンと辞めた。
ジムのランニングマシーンより、東京の坂だらけの道を少し歩いてアチコチ見て回る方が私には合っている。

そして、ちゃんと体重は減少している。
ただし、精神的負荷は私のトレーニングには不要なので、一切無理はせず、血糖値の敵のようなカレーライスも好きに食べる。それでも血糖値や体重などの体調管理がキチンと出来ていれば、それに越したことはない。

そんな中、このところの熱帯夜で、夜中に眼が醒めてしまうことがある。
まあ、冬でもよく眼が醒めるタチだが。
とにかく、眼が醒めた以上この熱帯夜を乗り切る為に、己の深部体温をなんとかしなくてはならない。深部体温なんてニュースの聞きかじり。
で、冷蔵庫から冷水を取ろうとする。
が、水と一緒に「しろくま」が手に有る。
頭は半分寝ている。
銀色のスプーンを「しろくま」に刺す。
あくまでも深部体温を下げる為に、「しろくま」を口に入れる。
「うーん、良いねー」
「クリームもかき氷っぽいんだよなー」
「しろくま」を半分ほど食べて、頭も徐々に醒めていき、ハッと我に返る。
おーっと、明日のお昼に軽くトレーニングをして、シャワーを浴びてから食べる予定の「しろくま」だーっと。
だがしかし、私は冷静に「しろくま」に蓋をして、冷蔵庫の冷凍室に戻す。

そして何事も無かったように、ベッドに戻る。
ただ寝る時に、「明日新しい「しろくま」買ってこなくちゃ。」と、むにゃむにゃ言いながら、再び眠りについた。
熱帯夜よりもダイエットに熱くなるべき私と「しろくま」のひとときだった。

ゆう

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