コンセントと視線が合うたびに

皆さんは日本国内で地域によってコンセントの周波数が異なることをご存知でしょうか。
私は先日、ご年配の方から聞いた「引っ越しの時は電化製品を全て買い直していた」という奇妙な昔話から、つい最近知ることになりました。

海外のコンセントはプラグ形状が異なるため、海外で日本の電化製品を使用する場合、コンセントのプラグ形状を変換するためにアダプタが必要なことは有名かもしれません。
しかしネットで調べてみたところ、実は日本国内でも地域によってコンセントから取ることのできる電気の周波数が異なっているということを知りました。

日本国内で使用されている電気の周波数は「50Hz」と「60Hz」の2種類があります。
2種類の周波数が使用されている国は、世界的に見ても珍しいようでした。
現在、日本では新潟県と静岡県の境界線を境にして、東側では「50Hz」、西側では「60Hz」の周波数が使われているようです。
なんと境目近辺では2種類の周波数が混在している地域もあるようでした。

何故、日本国内で2種類の周波数が使用されているのでしょうか。
それは、明治時代に国内へ輸入した発電機が東京では「50Hzのドイツ製」、大阪では「60Hzのアメリカ製」だったからとのことでした。
それに伴い、異なる周波数の設備や電化製品が広まってしまったようです。
そのため当時は、周波数の異なる地域へ引っ越しをする場合、全ての電化製品を買い換える必要があるようでした。

ですが今日、そのような手痛い出費に見舞われた話は滅多に聞いたことがないと思います。
なぜなら、各電化製品メーカがどちらの周波数でも問題なく利用できるよう電化製品に改修を行ったからです!

もしも国内全ての電気をどちらかの周波数に合わせたとしたら、約10兆円ものコストが掛かるようでした。計り知れない時間も掛かることでしょう。
そんな中、メーカが柔軟に対応することで、ユーザが背景を気にせず利用できるようになりました。
少し前までの私やこの記事を読んで初めて知った方のように、そんな過去があったことすら知らない人も数え切れないほど居ると思います。

もしかしたら電気会社が設備を整えてくれるかもしれないという淡い期待に縋らないこと。
「西は西、東は東」と甘んじることなく、そのどちらにも自社製品が対応できるよう改良しようという方向へ考えること。
当時の各メーカ責任者たちの対応力や決断力には、学ぶものがあるのではないかと思いました。

いつか自分にも周囲の環境が向かい風となるタイミングがあるかもしれません。
そんな時は、ふとあのコンセントの顔のことを思い出して、自分を変えてみたいと思います。

こーた

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